統合趣味環境

その都度、気になったことを綴ります。

EF 70-300mm F4-5.6 IS II USM について追記

どうも飛行機の画像がぼんやり感じるようになってきた。

例の二線ボケの影響のようでもあり、また別の収差によるものかもしれない。収差が影響しているなら絞ってしまえばいいじゃないかと思ったため、少し挑戦してみた。

絞りって何?

レンズの中に組み込まれる、だいたい円形に穴があいた板。目でいう瞳のこと。カメラにも瞳の概念がある。これによって入ってくる光を調節し、眩しい・暗くて見えないといった状況を回避できる。

なぜ絞りに注目?

私とて、被写体は空を駆ける航空機、やはりシャッター速度に重きを置くのが基本だった。しかし画質を考えてみよう。シャッター速度は像の明るさを調整する重要な要因だが、絞りは明るさとともに画質も決める。従って画質を追い求める以上、絞りは至極重要なものになったのである。

絞りが被写界深度・画質に関係してくる理由は何だろうか?

これはレンズの性質そのものに迫る疑問だ。

そもそもレンズの基本的な表面形状は球面であり、そのようなアバウトな形状では光は一点に集光しない。これが「収差」で、レンズ周辺に至るほど「焦点のずれ」は顕著になる。絞ることで、像は暗くなるものの、この焦点ずれの顕著な部分を無いものとして扱えるようになる*1

まあ、早い話が、「レンズのいいとこだけ使いましょうね、ただし像は暗くなりますよ」ということだ。

いざ実験!のつもりが...

まあコロナの影響で羽田に行きたいとは思わないが、電車を望遠で撮ってみた。

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EOS 80D/EF 70-300mm IS II USM, SS:1/400sec., f/11, ISO320, 300mm

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EOS 80D/EF 70-300mm IS II USM, SS:1/1600sec., f/5.6, ISO320, 300mm

オレンジの東武線車両を少し絞り気味にf/11で、紫の半蔵門線車両を開放f/5.6で撮影した。レビューなどを見るに「f/7以上絞らないと使えない」など散見されたので、この閾値を挟んだ値を取って実験を行った。とはいえ車両が違うため一概に比較はできないことを断っておく。

結果というか雰囲気というか、あまり解像力に差は無いように感じるのだが...違うと感じるのは被写界深度、すなわちピントの合っている前後領域の範囲で、f/11は後方まで、f/5.6は車両前面のみピントが合っている。従ってf/5.6の方が立体感の感じやすい像となっていることは明らかだろう。

って、いや、今回気にしてるのは被写界深度じゃないのよ!

飛行機の写真がぼんやり感じるのは間違いない、が、これは比較する対象を誤ったようである。というのも、被写体との距離がそもそも違っている可能性があるじゃないの。この電車の写真ではおそらく物体位置が無限遠ではなく有限の値(RAW現像してないのでデータがないが)。一方で航空機撮影の場合、おそらくカメラが測距を諦めて無限遠に調整していると思われる。

結局、今回得られた結果は「比較的物体との距離が短い場合、このレンズの絞りは解像力にそれほど関係しない」ということであった。とほほ...まあ鉄道ファンや駐機場の航空機撮影には有用な情報かしら。

まあ、今後も絞りの影響に注意していきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 

*1:一方で、厳密には絞りの裏に回り込むような光の波=回折光が顕著になるようだが、今回は気にしない